こんにちは、花屋の店先からお届けする“ちょっと裏側”ブログです。
今回は、初夏の風物詩「花菖蒲(はなしょうぶ)」が市場から届いた日の様子を、写真とともにご紹介します。
花菖蒲と聞くと、広い庭園に咲く姿や、季節の花として飾られているイメージが浮かぶ方が多いのではないでしょうか?
でも、実は花屋の店頭に並ぶ前、花たちはとても丁寧に梱包され、箱に入って運ばれてきます。今回は、そんな花菖蒲の“開封”をレポートします。
花菖蒲ってどんな花?
少しだけ基本情報を。花菖蒲はアヤメ科の多年草で、梅雨時期を彩る代表的な初夏の花。
すっと伸びた茎に、和紙のように繊細な花びらが揺れる姿は、どこか涼やかで凛とした印象です。
色は紫系が多く、白や淡いピンク、青みがかった品種もあります。
生け花としても人気で、水辺や日本庭園に咲く姿が有名ですが、切り花としても流通しています。
さあ、開封します!


さて、本題。こちらが市場から届いた「花菖蒲の箱」。
長さは約90cmほど。見た目は普通の段ボールですが、中にはとても繊細な花たちが眠っています。

まず蓋を開けると、乾燥防止のための白い紙や新聞紙が丁寧に敷かれています。
このひと手間が、長時間の輸送でも花の状態を保つための工夫です。


白紙をめくると――現れました。花菖蒲の長く、まっすぐに伸びた茎。そして、つぼみの先にほんのり色が見えている個体も。
箱の中には25本1束で、4束入っていました。これで花菖蒲100本です。
輸送中に花が痛まないように


輸送中の振動などで花が傷まないよう、菖蒲の足元は箱にしっかりとベルトで固定されています。
また、箱には「※取扱上の注意」などが印刷されており、生産者の花への気遣いがひしひしと伝わってきます。
毎回感じることですが、生産者さんの梱包は本当に美しく、いつも感心させられます。
まさにプロの仕事ですね。
一本ずつ丁寧に
市場から届いたばかりの花は、そのまま店頭に出すことはできません。まずは取り出し、根元をカットし直してから水に浸けます。
これは「水揚げ」と呼ばれる作業で、しっかり水を吸わせて元気を取り戻してもらうために欠かせない手順です。
花菖蒲は特にデリケートな花なので、開花のタイミングを見極めながら取り扱います。
咲いてしまうと日持ちが短いため、つぼみの状態で飾るのが一般的です。
開封した花の中には、すでに少し花びらが見えてきているものもあり、「この子は明日くらいに咲きそうだな」と予想しながら仕分けしていくのも、花屋ならではの楽しい時間です。
店頭に並ぶまで

水揚げ後、しっかり水を吸った花菖蒲は、店内の涼しい場所で数時間〜一晩ほど休ませます。
そして状態が整ったら、店頭に並べてお客様をお迎えします。
こうして並べられた花を見て「きれいね」「珍しい花ね」と声をかけてくださるお客様を見ると、少し誇らしい気持ちになります。
「この花は、昨日の朝、まだ箱の中にいたんですよ」とお伝えしたくなります。
花屋の裏側をちょっとだけ
普段、花がどのように届いているのかをご覧いただく機会はなかなかないかもしれません。
今回のような“箱から出したて”の姿は、花屋の特権とも言える景色です。これからも、そんな裏側を少しずつお見せできたらと思っています。
花菖蒲は、気温が上がるこれからの季節にも爽やかな彩りを添えてくれる存在。ぜひお部屋に飾って、季節の移ろいを感じてみてください。