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【花屋の正直な話】売れ残った花は、その後どうなってしまうのか?胸の内と葛藤

突然ですが、もしよろしければ、花屋として一番心が痛む瞬間のお話をさせてください。

それは、店頭で美しく輝いていたにもかかわらず、売れ残ってしまった花を、泣く泣く処分しなければならない瞬間です。

「あんなに綺麗なのに、もったいない」—お客様もそう思われるでしょう。

私たち花屋は、花を愛するがゆえに、この「フラワーロス(花の廃棄)」という現実と日々戦い、葛藤しています。

今回は、売れ残った花が辿る運命と、私たちが「まだ使えそうな花」を売らないと決めている、正直な理由をお話しします。

なぜ花屋には「ロス」が避けられないのか?仕入れの現実

「売れ残るなら、欲しい数だけ仕入れればいいのに」と思われるかもしれません。

もちろん、それができればどんなに理想的で、どんなに儲かることか、と私たちも思っています。

しかし、花市場には私たち花屋の事情を難しくする「壁」があります。

❌ 仕入れは「欲しい数」では買えない

切り花は、市場で「〇〇本単位」や「〇〇本ロット」でしか取引が成立しないことがほとんどです。

たとえその日、「バラが5本だけ欲しい」と思っても、ロット販売のため10本や20本を仕入れなければなりません。

その結果、需要以上に仕入れるリスクを常に抱えることになります。

イベントや天候によって需要は大きく変動するため、「売れ残りがゼロになる」のは本当に奇跡的な日でしかありません。

プロとして「まだ使える花」を売らない理由

売れ残った花の中には、「まだ家に飾るくらいなら大丈夫そう」に見えるものもあります。

それでも、私たちが心を鬼にして処分するのには、大切な理由があります。

お客さまに「新鮮さ」と「安心」を届ける信念

私たちの判断基準は、「お客様の元へ渡ってから、どれだけ日持ちするか」の一点のみです。

  • お客様の期待: お客様は、美しい花を少しでも長く楽しみたいと願い、信頼して私たちのお店に来てくださっています。
  • プロの責任: たとえ店頭で美しく見えても、茎の先や花びらの裏側に「すぐダメになるサイン」を見つけた場合、それを売ってしまうとお客様に「すぐに枯れた」という悲しい体験をさせてしまいます。

これは花屋としての信用に関わります。古くなってしまった花は、大切なお客様には売れません。

処分する時は本当に辛いですが、これも「新鮮な花を届ける」というプロの責任なのです。

【最後の仕事】廃棄までの「命の活かし方」

私たちは、ギリギリまで花の命を活かすためにあらゆる努力をしています。

最後まで粘る延命処置

売れ残りの可能性が出てきた花は、通常の花とは別の厳しい管理下に入ります。

  • 徹底した水切り: 鮮度を回復させるため、深いバケツで水切りをやり直します。
  • 個別の栄養剤管理: 栄養剤を濃くしたり、水の温度を調整したりして、わずかな延命を図ります。
  • 最後の活用: 状態が持つものは、スタッフが自宅に飾る、知人にプレゼントするなど、せめてもの活用を試みます。

涙を飲む「判断の瞬間」

しかし、「明日には確実に美しさを失ってしまう」と判断した瞬間が、廃棄を決断する時です。

この瞬間、「あとちょっと安くすれば売れたかも」「ちょうどピッタリ売れればどんなに儲かることか」という複雑な思いが頭をよぎります。

私たち花屋は、「この花を最後まで活かせなかった」という悔しさを胸に、再び市場へ向かうのです。

先輩の言葉の真意:「花屋は残酷でなければいけない」

私には、今も忘れられない花屋の先輩の言葉があります。

「花屋は、残酷でもなければいけない。」

この言葉の意味が、かつては理解できませんでした。美しい花を扱う仕事なのに、なぜ「残酷」である必要があるのだろうかと。

しかし、店を続けるうちに、その真意が痛いほどわかるようになりました。

1.「かわいそう」では店が回らない現実

私たち花屋も、花を愛する気持ちは人一倍強く、「まだ咲いている花を捨てるのはかわいそう」だと常に感じています。

ですが、この「かわいそう」という感情だけでは、花屋は成り立ちません。

  • スペースがない: 枯れるまでずっと店頭に置いておくスペースはありません。新しい花を仕入れなければ、お客様の要望に応えることはできませんが、その新鮮な花を置く場所がなくなってしまいます。
  • 売ることができない: お客様が求めているのは、新鮮で長持ちする花です。古くなってしまった花は、例え見た目が少し綺麗でも、売ることはできません。

2.「残酷さ」はプロとしての責任

売れ残った花を処分する、この“残酷な行為”は、新しい花の命とお客様への責任を守るために必要なのです。

もし私たちが「かわいそう」を理由に処分をためらえば、以下の問題が発生します。

  1. 新しい命が入荷できない
  2. お店全体が古くなった花で溢れ、鮮度が落ちてしまう
  3. お客様が「この店の花は日持ちしない」と感じてしまう

先輩が言う「残酷さ」とは、感傷を断ち切り、店の鮮度と信用を維持するプロとしての厳格な判断のことでした。

心を痛めながらも、古くなった花を処分し、「また入荷してくる新鮮な花の置き場を確保する」こと。これこそが、花を愛し、お客様を大切にする花屋の責任なのだと、今では理解しています。

読者の皆様へのお願い:ロス削減への協力

フラワーロスは、私たち花屋の力だけではゼロにすることが難しい問題です。しかし、花を愛してくださる皆様のちょっとした行動が、ロス削減に繋がります。

もしよろしければ、以下のことに少しだけ目を向けてみてください。

  • 「値下げ品」にも、積極的に目を向けてみる。
  • 花屋の開店直後や月初めなど、新鮮な花が豊富なタイミングで定期的に花を買う習慣をつけてみる。
  • 花屋に対して「ロスは絶対悪」という厳しいプレッシャーではなく、「応援したい」という温かい気持ちで見守っていただく。

一輪でも多くの花が、お客様の笑顔のもとで役割を全うできるよう、私たちも日々努力を続けます。

これからも、新鮮で愛らしい花を自信を持って届けられるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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